抗生物質は万能か?

抗生物質は万能なの?

 

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性病に感染している事がわかり、病院で抗生物質の投与や内服薬の 処方をしてもらうわけですが、この抗生物質とはどんなものでしょうか。

稀に「抗生物質を飲んだから平気」などと言う方がいますが、間違いです。 当たり前ですが、飲んですぐに治るわけではありません。治療中こそが 最も大事な期間であり、性的行為も厳禁です。

ペニシリン等に代表される抗生物質は、 必ず用量を守って服用してください!
そうしないと意味がありませんし、治るものも治りません。 それどころか、病原体が耐性をもってしまい、最悪の場合特定の抗生物質が 効かなくなってしまい、再治療を受けることにもなります。

 

抗生物質の働き

抗生物質とは、ヒトの細胞をあまり傷付けることなく細菌だけを殺す ことができる、いわば「魔法の弾丸」といわれた薬です。

細菌の繁殖を抑制したり、死滅させる作用をもっており、これは 天然の微生物が他の細菌を殺すために作った、天然成分を改良したものが いわゆる「抗生物質」の正体です。

細菌細胞に対してのみ有毒であるため、梅毒等に対する特効薬として 非常に有効で、これのおかげで感染症を治療できるわけです。

しかし、この抗生物質は完全に万能かというと決してそうではないです。 なぜかというと、少ない用量でもって病原体を死滅させられなかった場合、 体内でこの抗生物質に耐性をもった病原体が生まれる恐れがあるからです。

細菌やウイルスは突然変異を頻繁に起こしやすく、その過程で抗生物質を 排出、または無毒化する遺伝子を獲得する場合があり、そうなればもう 耐性菌として繁殖し、従来の治療が効かなくなります。

こういったプロセスで誕生し、日本でも猛威を振るっているのが、 「スーパー淋病」と呼ばれる、ペニシリンの効かない耐性菌です。 幸いにして、他の抗生物質で死滅させることができるので、国内でも 治療を受けて完治させることができます。

そういったわけで、処方箋は必ず用量を守って服用してください。 医師が決めた量の薬を正しく飲めば大丈夫です。 決して少量にしたりせずに、必ず最後まで服用することが大事です。

 

抗生物質の長所・短所

このように大変便利な抗生物質ではありますが、その反面短所もあります。 細菌を殺してくれる働きがあるわけですが、これは病原性細菌のみではなく、 無害な細菌まで殺してしまうのが短所でもあります。

ヒトの体内や体の表面には、無数の細菌が付いているのはご存知だと思います。 この細菌は常に生存競争を行っており、ヒトに有害な細菌はごく一部です。

無数の無害な細菌は、病原性の細菌を殺してくれる働きもあるので、これによって さまざまな病気から守られている部分もあります。病原性の細菌は生存競争には 基本的に弱いので、無害な細菌はヒトには有益といえます。

抗生物質は、こういった無害な細菌まで殺してしまう作用があるので、 正しい用量で処方しなければなりません。

 

耐性菌について

特定の抗生物質が効かない菌を耐性菌といい、また 複数の抗生物質に耐性を持った菌を多剤耐性菌といいます。

ではこの耐性菌、厄介な細菌ではありますが、弱点もあります。それは 耐性を持つ働きの代わりにエネルギーが弱く、他の耐性を持たない菌 (感受性菌といいます)に死滅させられることが多いです。

あとは耐性菌が耐性をもっていない、別の抗生物質で死滅するパターンです。 いずれにせよ耐性をもつ菌が繁殖するのは公衆衛生的によくありませんので、 抗生物質は正しい用法・用量をまもって服用しましょう。これは抗真菌剤も同様です。

 

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